それでも恋するバルセロナ(映画)

BSプレミアム 2013年3月29日(金) 午後11:45~午前1:25(100分) ノーカット 吹き替え

【主なテーマ】未知
【その他のテーマ】芸術 理性 欲望
【判定】見る価値あり
【解説】
「欲しいものは分からないが、要らないものは分かる」という作品に出てくる言葉を中心に物語が進む。72歳のウディ・アレンにしても欲しいものが分からないということに驚き、考えさせられた。
作品中に流れるメインのBGMが良い。
作品の中でも輝いていたのがペネロペ・クルスで、飛び抜けた美貌は流石ハリウッド女優と思わせる。
スカーレット・ヨハンソンの代名詞であるスカーレットブロンドも印象的で画面に花を添えている。
原題のVicky Cristina Barcelonaを、それでも恋するバルセロナと訳したことは頂けない。
考えることが好きな人にはお勧めする。そうでない人にも見る価値はあるのではないだろうか。

【資料】
それでも恋するバルセロナ
Vicky Cristina Barcelona
監督 ウディ・アレン
脚本 ウディ・アレン
製作 レッティ・アロンソン
スティーヴン・テネンバウム
ギャレス・ワイリー
製作総指揮 ジャウメ・ロウレス
ナレーター クリストファー・エヴァン・ウェルチ
出演者 ハビエル・バルデム
レベッカ・ホール
ペネロペ・クルス
スカーレット・ヨハンソン
撮影 ハビエル・アギーレサロベ
編集 アリサ・レプセルター
製作会社 MediaPro
Wild Bunch
配給 アメリカ合衆国の旗 MGM/ワインスタイン
日本の旗 アスミック・エース
公開 アメリカ合衆国の旗 2008年8月15日
日本の旗 2009年6月27日
上映時間 96分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
スペインの旗 スペイン
言語 英語
スペイン語
製作費 $15,000,000
興行収入 $96,408,652

それでも恋するバルセロナ』(Vicky Cristina Barcelona)は、2008年公開のアメリカスペイン合作映画。
ウディ・アレン監督・脚本作品。第61回カンヌ国際映画祭特別招待作品として上映。第66回ゴールデングローブ賞作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)受賞。ペネロペ・クルス第81回アカデミー賞助演女優賞を受賞。

目次

ストーリー

アメリカ人のヴィッキーとクリスティーナは、親友同士。共通項が多い二人だが、恋愛に関する考え方だけはまったく違っていた。ヴィッキーはカタルーニャに関する論文を書くため、クリスティーナは短編映画を撮り終えて気分を変えたかったため、二人でスペインバルセロナを訪れる。ヴィッキーの親戚の家に滞在する二人だが、ある画廊で開かれたパーティで画家のフアン・アントニオと出会う。フアン・アントニオはいきなり二人をこの週末、オビエドに 連れて行きたい、もしその気になったら二人と寝てもいいと語る。ぶしつけな申し出にヴィッキーは怒るが、クリスティーナは彼に惹かれ、結局二人はフアン・ アントニオと共にオビエドを訪問することになる。しかしオビエドでクリスティーナは体調を崩し、フアン・アントニオとヴィッキーは二人きりで過ごすことに なってしまう。最初は反発していたヴィッキーだが、次第にフアン・アントニオに惹かれていき、婚約者がいるにもかかわらず一夜を共にしてしまう。
そんな経緯を知らないクリスティーナは、バルセロナに戻ってからフアン・アントニオと同棲を始める。そこへフアン・アントニオの元妻マリア・エレーナが現れる。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
フアン・アントニオ ハビエル・バルデム 山路和弘
ヴィッキー レベッカ・ホール 小松由佳
マリア・エレーナ ペネロペ・クルス 田中敦子
クリスティーナ スカーレット・ヨハンソン 坂本真綾
ジュディ・ナッシュ パトリシア・クラークソン 滝沢ロコ
マーク・ナッシュ ケヴィン・ダン 鈴森勘司
ダグ クリス・メッシーナ 荻野晴朗
ナレーター クリストファー・エヴァン・ウェルチ 中村正

製作の背景

映画の製作費10%が撮影したカタルーニャ地方の税金からの出資だったが、英語の作品となり、地元市民から猛反発を受けた[2]
スカーレット・ヨハンソンは『マッチポイント』、『タロットカード殺人事件』に続いて、3度目のウディ・アレン作品に出演。

ザ・タウン(映画)

BSプレミアム 2013年5月14日 午後11:45~午前1:51 劇場公開版 ノーカット 字幕

【主なテーマ】喪失
【そのほかのテーマ】復讐 母 生まれ
【判定】見られる
【解説】
父親の影響で強盗を家業としているダグ。
ある日、強盗に押し入った銀行で支店長だったクレアと出会う。
クレアが近所に住んでいると知り、クレアの様子を探るうちに、惹かれあう二人。
基本的にはギャング映画。
監督と脚本がベンアフレックということで、ギャング映画を作る才能があると思ったが、原作があったことを後で知り、その判断は次回作に持ち越す。
特筆する点はないが、暇で時間を埋めたい場合には普通に見られる。

【資料】
ザ・タウン
The Town
監督 ベン・アフレック
脚本 ベン・アフレック
ピーター・クレイグ
アーロン・ストッカード
原作 チャック・ホーガン
『強盗こそ、われらが宿命』
製作 グレアム・キング
ベイジル・イヴァニク
製作総指揮 デヴィッド・クロケット
ジョン・ジャッシニ
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
デヴィッド・バックリー
撮影 ロバート・エルスウィット
編集 ディラン・ティチェナー
製作会社 レジェンダリー・ピクチャーズ
GKフィルムズ
サンダー・ロード・ピクチャーズ
配給 ワーナー・ブラザーズ
公開 イタリアの旗 2010年9月8日VIFF
アメリカ合衆国の旗 2010年9月17日
日本の旗 2010年10月31日TIFF
日本の旗 2011年2月5日
上映時間 124分(劇場公開版)
150分(エクステンデッド・バージョン)
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $37,000,000[1]
興行収入 $154,026,136

ザ・タウン』(The Town)は、2010年公開のアメリカ映画チャック・ホーガンの小説『強盗こそ、われらが宿命』を原作とした犯罪スリラー作品で、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』以来2本目となるベン・アフレック監督作品である。
第67回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション外で上映された。第23回東京国際映画祭で特別招待作品のクロージング作品として上映された。

目次

ストーリー

この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています
年間300件以上の銀行強盗事件が起こる街、ボストンチャールズタウン。ダグはそこで幼馴染たちと共に結成した銀行強盗団のリーダーをしており、自分の行いに信念を持っていた。しかしある日、ダグが襲ったとある銀行の女性支店長クレアに出会ったことで彼の心が揺らぎ始めた。一方でFBIのアダムによる捜査が強盗団に忍び寄る。

あらすじ
強盗の温床として名高いボストン北東部にあるチャールズタウン。この街で育ったダグはかつてプロ・ホッケー選手を夢みていたが、今では父親と同じ強盗団の リーダーとして仲間たちと銀行強盗を繰り返す日々。ある時、銀行襲撃で思わぬ事態から支店長のクレアを人質に。その後解放させるが、彼女が同じ街の住人だ と知ったダグは、自分の正体を隠しクレアに近づく。一方でFBI捜査官フローリーによる捜査が強盗団に忍び寄っていた。

キャスト

ダグ・マクレイ
演 - ベン・アフレック、声 - 土田大
強盗団のリーダー。元アイスホッケー選手。
クレア・キーシイ
演 - レベッカ・ホール、声 - よのひかり
ダグらが襲った銀行の支店長。
アダム・フローリーFBI捜査官
演 - ジョン・ハム、声 - 藤真秀
ダグらの起こした事件の捜査を担当。
ジェームズ “ジェム”・コフリン
演 - ジェレミー・レナー、声 - 阪口周平
ダグとは兄弟同然の幼なじみで強盗仲間。荒っぽい性格で人殺しも辞さない。
クリスタ・コフリン
演 - ブレイク・ライヴリー、声 - 花村さやか
ジェムの妹。ダグの元恋人。乳飲み子の娘を抱えている。
アルバート “グロンジー”・マグローン
演 - スレイン
ダグの強盗仲間。運転手。大柄。
デズモンド “デズ”・エルデン
演 - オーウェン・バーク
ダグの強盗仲間。電気系統担当。
ディノ・シャンパ刑事
演 - タイタス・ウェリヴァー
ボストン警察の刑事。地元出身でダグとは旧知の仲。
ダグからは裏切り者扱いされている。
ファーガス “ファーギー”・コルム
演 - ピート・ポスルスウェイト
表向きは花屋。ダグらの親の代から地元を仕切っているボス。
スティーヴン・マクレイ
演 - クリス・クーパー
ダグの父親。服役中。

製作

2008年9月、ワーナー・ブラザーズが小説を映画化する為にベン・アフレックと交渉中であることが報じられた[2]。2009年8月末にマサチューセッツ州ボストンで撮影が始まった[3][4]

評価

北米では公開初週末3日間で2380万8032ドルを稼いで初登場1位となり[5]、また、それだけでベン・アフレック監督の前作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』の累計興行収入を上回った[6]
Rotten Tomatoesによると、94%(191名中180名)の評論家が本作に肯定的な評価を下し、また平均点は10点満点で7.7点となった[7]
第83回アカデミー賞ジェレミー・レナーが助演男優賞にノミネートされた。

ソフト化

日本ではワーナー・ホーム・ビデオよりブルーレイ、DVDが発売。
  • ザ・タウン ブルーレイ&DVDセット<エクステンデッド・バージョン>(2枚組、2011年7月20日発売・初回限定生産)
    • ディスク1:本編Blu-ray
      • 本編:劇場公開版本編と未公開シーンを追加した本編エクステンデッド・バージョンの2種類を収録
      • 映像特典
        • フォーカス・ポイント
          • 銀行強盗事件の再現
          • チャールズタウン:強盗の温床
          • ノースエンドでの銃撃戦
          • “タウン”に生きる人々
          • 監督/主演 ベン・アフレック
          • ボストンの“大聖堂”フェンウェイ・パーク
        • フォーカス・ポイント機能付き本編(劇場公開版本編のみ、フォーカス・ポイントのアイコン表示箇所でリモコンの決定ボタンを押すと再生可能)
        • 未公開マーク付き本編(本編エクステンデッド・バージョンのみ、劇場公開版と異なるシーンで未公開マークを表示可能)
      • 音声特典
        • オーディオコメンタリー(監督・脚本・出演:ベン・アフレック / 劇場公開版本編、及び本編エクステンデッド・バージョンの両方に収録)
    • ディスク2:本編DVD
      • 本編:劇場公開版本編を収録
      • 映像特典
        • “タウン”に生きる人々
        • 監督/主演 ベン・アフレック
    • 封入特典
      • オリジナルブックレット
  • ザ・タウン ブルーレイ<エクステンデッド・バージョン>(1枚組、2012年4月25日発売)
    • 映像・音声特典:ブルーレイ&DVDセット・ディスク1と同様
  • ザ・タウン DVD(1枚組、2012年4月25日発売)
    • 映像特典:ブルーレイ&DVDセット・ディスク2と同様

タクシードライバー (1976年映画)

BSフジ 5月26日(日)19:00~21:55 ノーカットかも

【メインテーマ】ゴミ
【その他のテーマ】負け犬 掃除
【判定】見る価値なし
【解説】
批評する気にもならない駄作。
貧困層の若者が殺人をし、意に反して英雄に祭り上げられるという話。
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しているようだが、これだからカンヌ国際映画祭の評価が低いんだろう。審査員特別賞で日本人監督の「そして父になる」だかが受賞したのも頷ける。スピルバーグは良い監督だけれども。
世界一演技がウマいと言われているデニーロだが、この作品を見る限り、その片鱗は見えない。
装飾して言えば、社会の歪みを切り取った作品だが、普通に言えば、どこにでもある普通の話。
ありふれたものを見たい人はどうするべきか、それはカンヌにある。

【資料】
タクシードライバー
Taxi Driver
監督 マーティン・スコセッシ
脚本 ポール・シュレイダー
製作 マイケル・フィリップス
ジュリア・フィリップス
出演者 ロバート・デ・ニーロ
シビル・シェパード
ハーヴェイ・カイテル
ジョディ・フォスター
アルバート・ブルックス
音楽 バーナード・ハーマン
撮影 マイケル・チャップマン
編集 トム・ロルフ
配給 コロムビア映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1976年2月8日
日本の旗 1976年9月18日
上映時間 114分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
スウェーデン語
製作費 130万ドル
興行収入 $28,262,574

タクシードライバー』(原題: Taxi Driver)は、1976年公開のアメリカ映画。制作会社はコロムビア映画。監督はマーティン・スコセッシ。脚本はポール・シュレイダー。主演はロバート・デ・ニーロ
第26回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。また、1994年アメリカ議会図書館アメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の1つ。

目次

概要

大都会ニューヨークを舞台に夜の街をただ当てもなく走り続ける元海兵隊のタクシー運転手が、腐敗しきった現代社会に対する怒りや虚しさ、逃れられない孤独感から徐々に精神を病み、ついには自分の存在を世間に知らしめるため過激な行動に走る姿を描く。1960年代後半から1970年代中頃にかけて隆盛を極めたアメリカン・ニューシネマの最後期にして代表的な作品とされている。

ストーリー

ニューヨークにある小さなタクシー会社に運転手志望の男性が現れた。ベトナム帰りの元海兵隊員と称する彼、トラヴィス・ビックルは、戦争によるのか深刻な不眠症を患っているため定職に就くこともままならず、タクシードライバーに就職。誰となく目的地まで送り届け運賃を受け取る毎日を過ごしていた。社交性にやや欠け、同僚たちから守銭奴とあだ名されるトラヴィスは、余暇はポルノ映画館に通ったり、深い闇に包まれたマンハッタンを当てもなく運転する、という孤独の中にあった。そして、そこで目にする麻薬と性欲に溺れる若者や盛り場の退廃ぶりに嫌悪を示していた。
ある日、トラヴィスは次期大統領候補パランタインの選挙事務所付近を通りかかる。彼はそこで勤務する女性に魅かれ、選挙運動に興味を示した。彼女はベッツィーと 言う名で、トラヴィスは彼女をデートに誘う。徐々に懇意になっていく二人だったが、トラヴィスは日頃の習性でベッツィーとポルノ映画館に入り、激昂させて しまう。以来どうなだめても応じず、思うようにことが運ばない彼はついに選挙事務所に押し掛け「殺してやる」と罵るのであった。
民主主義の理想と現実の狭間で、トラヴィスの不眠症は深刻さを増し、心は荒んでいく一方であった。「腐敗しきったこの街を俺が浄化してやる」という 思いは憤怒から実行性を帯び目的へと固まっていく。そんな中、トラヴィスのタクシーに突如幼い少女が逃げ込んできた。ヒモらしい男が彼女を連れもどす。ト ラヴィスは方向性を定めるにいたった。
トラヴィスは裏のルートから拳銃を仕入れ、射撃の訓練と肉体の強化に励んだ。「俺に用か? 俺に向かって話しているんだろう? どうなんだ?」トラヴィスは鏡の前で、半狂人と化した自身の鏡像を前に不敵な笑いを浮かべ、あるいは怒りに満ちた表情で瞬時に拳銃を突き出すのであった。
そんな中、トラヴィスは食料品店で強盗事件に居合わせた。彼は咄嗟に拳銃を取り出し犯人を撃つ。刑事気取りの彼は偶然にもいつかの少女と会う。アイリスと名乗る少女にトラヴィスは売春で稼ぎ学校にも行かない生活を止めるように説得した。アイリスは、恋愛などではなくヒモに騙され利用されていることに気づいていない。しまいに少女に呆きれられてしまうトラヴィス。
トラヴィスは浄化作戦を実行に移す。次期大統領候補であるパランタインの集会に現れたトラヴィスの出で立ちは、モヒカンサングラス。パランタインを射殺しようとした彼はシークレット・サービスに目撃され人混みの中を逃げ去った。その夜トラヴィスは、アイリスのヒモ、スポーツのアパートを訪ねた。トラヴィスは正義の名の下にスポーツや用心棒、アイリスの客を立て続けに射殺。銃弾を受けて重傷を負うも、一人の少女を売春から救った彼は新聞から英雄扱いされる。
心変わりしたベッツィーからも好意を寄せられるが、彼は何事もなかったかのように夜の街をタクシーで一人彷徨い続けるのであった。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替え版1 日本語吹替え版2
トラヴィス・ビックル ロバート・デ・ニーロ 津嘉山正種 宮内敦士
ベッツィー シビル・シェパード 田島令子 井上喜久子
アイリス ジョディ・フォスター 冨永みーな 木下紗華
スポーツ ハーヴェイ・カイテル 日高晤郎 東地宏樹
ウィザード ピーター・ボイル 寺島幹夫 浦山迅
トム アルバート・ブルックス 野島昭生 村治学
タクシー会社の受付 ジョー・スピネル

パランタイン上院議員 レナード・ハリス

ポルノ映画館の売店の女 ダイアン・アボット

銃のセールスマン スティーブン・プリンス 蟹江栄司
強盗に入る黒人
千葉繁

作品解説

トラビスとアイリス、たくさんの死体と踏み込んだ警察官たちを真上から写す場面は、空家になったアパートの上階の床をくり抜いて撮影された。同じシーンの血の生々しさから公開にあたってレイティング審査でXレート(=16歳以下入場禁止)指定を受け、光学処理(リンウッド・ダンによると言われる)で血糊の色を作り物らしく加工する事でR指定を受けた。

配役

常に徹底した役作りで知られるデ・ニーロだが、本作の撮影に際し数週間実際にタクシーの運転手を務め、役の研究を行った。
売春で生計を立てる少女アイリスを演じたジョディ・フォスターは公開当時わずか13歳であったことが大きな話題を呼んだ。フォスターは本作のデ・ニーロとの共演で演技に開眼したと語る。突然アドリブを入れるなど子役として活躍してきたフォスターには刺激的な体験となった。フォスターは本作で第49回アカデミー助演女優賞にノミネートされ本格的に女優としての第一歩を歩み始めた。
監督マーティン・スコセッシは 浮気した自分の妻の殺害を仄めかすタクシーの客として出演している。劇中ではデ・ニーロ演じるトラヴィスが、精神の昂揚しているスコセッシに終始無言で対 応しているが、リハーサルの時には逆にデ・ニーロが冗談半分でスコセッシの台詞にアドリブで言い返し、驚いたスコセッシは「頭が真っ白になり、言葉を返せ なかった」と後に笑って語っている。

演出・メイク

デ・ニーロが鏡に向かい「You talkin' to me?」と呟きながら自分の鏡像に銃を向ける場面は、脚本には書かれておらず、監督とデ・ニーロが即興で様々な試みを行った。「You talkin' to me?」は、2005年にアメリカ映画協会が選出した「映画の名セリフベスト100英語版」で10位にランクインした。
終盤のデ・ニーロのモヒカンは特殊メイクの巨匠ディック・スミスが作成したものである。ハーヴェイ・カイテルの長髪も

音楽

本作が遺作となったバーナード・ハーマンによるサックスを中心に据えた音楽も映画の高評価に一役買った。最後のレコーディング・セッションが終了して12時間後、息を引き取った。

評価・影響

この映画に影響されてジョン・ヒンクリーレーガン大統領暗殺未遂事件を起こした。なお、本作自体も、1972年に起きた暴漢によるジョージ・ウォレス大統領選候補狙撃事件からインスピレーションを得たと言われている[2]

受賞・ノミネート

映画祭・賞 部門 対象 結果
アカデミー賞[3] 作品賞 マイケル・フィリップス、ジュリア・フィリップス ノミネート
主演男優賞 ロバート・デ・ニーロ ノミネート
助演女優賞 ジョディ・フォスター ノミネート
作曲賞 バーナード・ハーマン ノミネート
英国アカデミー賞 作品賞 『タクシードライバー』 ノミネート
主演男優賞 ロバート・デ・ニーロ ノミネート
助演女優賞 ジョディ・フォスター 受賞
監督賞 マーティン・スコセッシ ノミネート
アンソニー・アスクィス映画音楽賞 バーナード・ハーマン 受賞
新人賞 ジョディ・フォスター 受賞
ゴールデングローブ賞[4] 主演男優賞 (ドラマ部門) ロバート・デ・ニーロ ノミネート
脚本賞 ポール・シュレイダー ノミネート
カンヌ国際映画祭[5] パルム・ドール マーティン・スコセッシ 受賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞[6] 男優賞 ロバート・デ・ニーロ 受賞
音楽 バーナード・ハーマン 受賞
ニューヨーク映画批評家協会賞[7] 男優賞 ロバート・デ・ニーロ 受賞
全米映画批評家協会賞[8] 監督賞 マーティン・スコセッシ 受賞
主演男優賞 ロバート・デ・ニーロ 受賞
助演女優賞 ジョディ・フォスター 受賞
ブルーリボン賞 外国作品賞 『タクシードライバー』 受賞
報知映画賞 海外作品賞 『タクシードライバー』 受賞

ランキング入り

媒体・団体 部門 対象 順位
キネマ旬報 委員選出外国語映画部門ベスト・テン 『タクシードライバー』 1位
アメリカ映画協会 映画の名セリフベスト100英語版 You talkin' to me? 10位
アメリカ映画100年の悪役ベスト50 トラヴィス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ) 30位
エンパイア 史上最高の映画キャラクター100人[9] トラヴィス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ) 18位

DVD

DVD版では、アイリスに会いに行ったトラヴィスが隠し持っていた拳銃を用心棒風の男に取り上げられるシーンがカットされている。また銃を密売人から買う場面で銃の携帯許可証を入手できないか聞くシーンがカットされている。このとき、サービスでホルスターを貰っている[10]
脚本担当のシュレイダーらによる音声解説や日本語吹替え音声を新規収録した本編ディスクのほかに、ロケ地のその後の様子や絵コンテと完成シーンを比較した映像を収録した特典ディスクが添付されている。

エピソード

オーヴェルの教会 ゴッホ(絵画)

ゴッホの最晩年に描いた作品には画家人生の終わりが表現されている。
この作品のモチーフの教会は自分の信じていることを表している。その教会が歪んでいるということは、自分の信じる事が揺らいでいる、あるいは崩れるということを表している。手前の2つに分岐している道は、人生の岐路を表し、その先にある暗雲が立ち込める空は、行く末の暗闇を表している。
信じるものを失ったゴッホが自分の人生の最後を描いたこの作品は、ゴッホの最高傑作であり、芸術の極致である。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/9e/L%27%C3%A9glise_d%27Auvers-sur-Oise.jpg

作者 フィンセント・ファン・ゴッホ
制作年 1890年
素材 油彩
寸法 74 cm × 94 cm (29 in × 37 in)
所蔵 オルセー美術館(パリ)
オランダ語: De kerk van Auvers
フランス語: L'église d'Auvers-sur-Oise

ワーグナーとユダヤ人のわたし(ドキュメンタリー)

BS1<シリーズ アーティストたちの素顔>
(前編)2013年5月21日(火) 0:00~0:50 (後編)2013年5月22日(水) 0:00~0:50
* 原題:Wagner and Me
* 制作:Wavelength Films (イギリス 2010年)

ワーグナーの辿った足跡をユダヤ人のプレゼンターの視点で描かれている。
ヒットラーによってワーグナーに染みが付いたというのが、この番組の基本コンセプト。
バイロイト祝祭劇場、バイロイト音楽祭、ニーベルングの指輪を扱ったテレビはあまりないので勉強になった。
この放送の中で一番印象的だったのが、「ワーグナーをヒットラーに譲るつもりはありません」というプレゼンターの言葉だった。
ワーグナーを知りたい方には良い作品である。

幻影師アイゼンハイム(映画)

BSプレミアム 2013年4月19日(金) 午後11:45~午前1:35(110分)字幕ノーカット

【メインテーマ】トリック
【その他のテーマ】ウィーン ハプスブルク 歴史
【判定】見る価値あり
【解説】
話の流れは、引き裂かれた男女が再開を果たすという、ありふれた話。
見所としては、舞台がハプスブルグ帝国末期のウィーンであるという点が挙げられる。
ルドルフ皇太子が自殺するという史実に似せて作られている。
少年時代に出来なかった、恋人ソフィと一緒に消えるというトリックを、時を経て実行するという場面で大団円を向かえる。このトリックはデビッドフィンチャーのゲーム以来の驚きを与えてくれた。
衝撃のラストというキャッチフレーズが好きな人には、申し分のない作品だと言えるが、文学的、思想的な作品ではない。

【資料】
幻影師アイゼンハイム
The Illusionist
監督 ニール・バーガー
脚本 ニール・バーガー
原作 スティーヴン・ミルハウザー
『幻影師、アイゼンハイム』
製作 マイケル・ロンドン
ブライアン・コッペルマン
デヴィッド・レヴィーン
ボブ・ヤーリ
キャシー・シュルマン
製作総指揮 ジェーン・ガーネット
トム・ヌナン
テッド・リーボヴィッツ
ジョーイ・ホーヴィッツ
出演者 エドワード・ノートン
ポール・ジアマッティ
音楽 フィリップ・グラス
撮影 ディック・ポープ
編集 ナオミ・ジェラティ
配給 日本の旗 デジタルサイト/デスペラード
公開 アメリカ合衆国の旗 2006年8月18日
日本の旗 2008年5月24日
上映時間 110分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $16,500,000[1]
興行収入 $87,892,388[1]

幻影師アイゼンハイム』(げんえいしアイゼンハイム、原題:The Illusionist)は、2006年公開のアメリカ映画スティーヴン・ミルハウザー原作の小説『バーナム博物館』に収められた短編小説の映画化。
北米では、2006年8月18日に51館のみで公開だったが、口コミで評判を集めて1438館まで拡大公開された。興行収入は4000万ドル。第79回アカデミー賞では撮影賞にノミネートされた。日本では、2008年5月24日に公開。

目次

あらすじ


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。

家具職人の息子エドゥアルドと公爵令嬢ソフィは幼い頃、身分の隔たりを越えて恋に落ちた。だが、大人たちによって引き離され、少年エドゥアルドは村を去った。
遠く東洋まで旅をしたエドゥアルドは、以前から熱中していた奇術の技を磨き、成人後は大人気の幻影師アイゼンハイムとして知られるようになった。
ウィーンでの公演中、ソフィと再会するアイゼンハイム。オーストリア皇太子レオポルドと婚約間近とされているソフィだが、過去に女友達への暴行と殺 害の疑いがあり、父である皇帝の追い落としを謀るような傲慢で残忍な皇太子を嫌っていた。密かに逢瀬を重ね、互いの変わらぬ愛を確かめ合い、駆け落ちを計 画するアイゼンハイムとソフィ。だが、ソフィから婚約しないことを告げられた皇太子は、剣を手にソフィの後を追った。
翌日、遺体となって発見されるソフィ。犯人が逮捕されても、町中が皇太子の仕業だと噂する。そんな中、アイゼンハイムは幽霊を呼び出す新作公演を始 めた。皇太子からアイゼンハイムの監視と、追い詰めることを命じられたウール警部は、アイゼンハイムに好意を持つがゆえに事態を打開しようと奇術のトリッ クを探るうちに、徐々にソフィ殺害の真相に近づいて行ってしまうのだった。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
幻影師アイゼンハイム エドワード・ノートン 阪口周平
ウール警部 ポール・ジアマッティ 宗矢樹頼
公爵令嬢ソフィ ジェシカ・ビール 世戸さおり
皇太子レオポルド ルーファス・シーウェル 根本泰彦
興行師フィッシャー エドワード・マーサン 多田野曜平
ヤルカ ジェイク・ウッド
ウィリグート トム・フィッシャー
若きアイゼンハイム アーロン・ジョンソン
若きソフィ エレノア・トムリンソン
医者/老紳士 カール・ジョンソン

スタッフ

  • 監督:ニール・バーガー
  • 製作:マイケル・ロンドン、ブライアン・コッペルマン、デヴィッド・レヴィーン、ボブ・ヤーリ、キャシー・シュルマン
  • 製作総指揮:ジェーン・ガーネット、トム・ヌーナン、テッド・リーボヴィッツ、ジョーイ・ホーヴィッツ
  • 脚本:ニール・バーガー
  • 撮影:ディック・ポープ
  • プロダクションデザイン:オンドレイ・ネクヴァシール
  • 衣装デザイン:ナイラ・ディクソン
  • 編集:ナオミ・ジェラティ
  • 音楽:フィリップ・グラス

主な受賞

I am Sam アイ・アム・サム(映画)

BS日テレ 2013年5月19日(日)20:00~21:54[吹替] カットあり

【メインテーマ】障害を乗り越える
【その他のテーマ】知的障害 公権力 ザ・ビートルズ 親子 離散 能力 権利
【判定】見られる
【解説】
7歳の娘ルーシーを持つサムには知的障害がある。
退院してすぐにルーシーの母親はサムの元から逃げて行った。
ルーシーの誕生会での、ある事件を期にルーシーはサムから施設へと引き離される。
互いに一緒に暮らしたい親子と、サムの養育能力を否定する公権力(行政)との戦いが終始描かれる様子が、この映画の大部分を占める。
子供にとって最大限の環境(資源)を与えるべきか、貧しい環境でも父親と共に生きていくべきか。
この映画の魅力を挙げるとすれば、ビートルズが好きな人には映画に度々出てくるビートルズの曲とフレーズがある。
画面の色彩は暗めで、法廷などでは青のフィルターが多用される。
映画を見る前はダスティンホフマンが出演していると思っていたが、実際はショーンペンだった。


【資料】
アイ・アム・サム
I Am Sam
監督 ジェシー・ネルソン
脚本 クリスティン・ジョンソン
ジェシー・ネルソン
製作 マーシャル・ハースコビッツ
エドワード・ズウィック
製作総指揮 マイケル・デ・ルカ
クレア・ラドニック・ポルスタイン
デヴィッド・ルービン
出演者 ショーン・ペン
ミシェル・ファイファー
ダイアン・ウィースト
ダコタ・ファニング
ローラ・ダーン
音楽 ジョン・パウエル
撮影 エリオット・デイヴィス
編集 リチャード・チュウ
配給 アメリカ合衆国の旗 ニュー・ライン・シネマ
日本の旗 松竹/アスミック
公開 アメリカ合衆国の旗 2001年12月28日
日本の旗 2002年6月8日
上映時間 133分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $22,000,000
興行収入 $97,818,139[1]


アイ・アム・サム』(I am Sam)は、2001年に公開されたアメリカ映画知的障害を持つ父親と、幼い娘との純粋な愛をビートルズの曲とともに描いたドラマ映画。
父親役のショーン・ペンアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。娘役のダコタ・ファニング放送映画批評家協会賞、ゴールデン・サテライト賞、ラスベガス映画批評家協会賞、ヤング・アーティスト賞を受賞し、映画俳優組合賞の助演女優賞にも最年少でノミネートされた。また、当映画は日本アカデミー賞の外国作品賞にノミネートされた。

目次

あらすじ

スターバックス[2]で 働く7歳の知能しか持っていない中年男サム(ショーン・ペン)は、ホームレスの女性が出産した自分の娘、ルーシー・ダイアモンド(ダコタ・ファニング)と 幸せに暮らしていた。しかし7歳になったルーシーはサムの知的能力を追い抜いてしまい、サムは父親として養育能力がないという判断をソーシャル・ワーカー に下されてしまう。ルーシーは施設で保護されることになり、サムは失意にくれる。彼は法廷で闘う決意を固め、エリート弁護士のリタ(ミシェル・ファイ ファー)に依頼。自分が社会奉仕の仕事もできることを見せつけるために弁護を引き受けたリタだったが、どう考えてもサムには不利な裁判。彼の障害者の友人 たちは裁判で普通の証言ができず、隣人アニー(ダイアン・ウィースト)も外出恐怖症を乗り越え証言台に立つのだが、相手の検察官にやり込められて落ち込ん でしまう。一方、サムとルーシーは親子の絆をますます深める。サムは結局、条件付きで親権は認められたものの、ルーシーは里親のランディ(ローラ・ダー ン)らと一緒に暮らすことに。だがサムはその家の近所に引っ越して、ルーシーは毎日のように彼に会いにいく。2人の愛情の深さに気づいた周囲は、ようやく その親子関係を認めるのだった。

スタッフ

出演

役名 俳優 日本語吹き替え
ソフト版 日本テレビ
サム・ドーソン ショーン・ペン 山路和弘 平田広明
リタ・ハリソン・ウィリアムズ ミシェル・ファイファー 塩田朋子 戸田恵子
ルーシー・ダイアモンド・ドーソン ダコタ・ファニング 金田朋子 宇山玲加
アニー・カッセル ダイアン・ウィースト 翠準子 日色ともゑ
ランディ・カーペンター ローラ・ダーン 林佳代子 堀越真己
マーガレット・キャルグローブ ロレッタ・ディヴァイン 滝沢ロコ 磯辺万沙子
Mr.ターナー リチャード・シフ 仲野裕 郷田ほづみ
イフティ ダグ・ハッチソン 根本泰彦 多田野曜平
ロバート スタンリー・デサンティス 小島敏彦 岩崎ひろし
ブラッド ブラッド・シルバーマン 小森創介 渡辺穣
ジョー ジョセフ・ローゼンバーグ 佐々木敏 グラシアス小林
ウィリー・ハリソン チェイス・マッケンジー・ベバック 有馬瑞香
コナー・ローズ メイソン・ルセロ 久保田恵
フィリップ・マクニーリー ケン・ジェンキンス 長克己
ジョージ ボビー・クーパー 大滝寛
レベッカ キャロライン・キーナン 堀越真己
ライト ウェンディ・フィリップス 弘中くみ子
ブレイク メアリー・スティーンバージェン 吉沢希梨
リリー ロザリンド・チャオ 村竹あおい
ジャスロウ マイケル・B・シルバー 蓮池龍三
  • サムの友人役(友人も障害者)で実際に3人の障害者が映画に出演している。
  • ダコタの実妹エル・ファニングが2歳時のルーシー役で出演している。

音楽

この映画には多くのビートルズの楽曲が使われている。これはこの映画を製作するに当たり取材を行った障害者施設の利用者の多くがビートルズが好きであったためである。しかし、ビートルズの楽曲を使うには膨大な予算が生じてしまうため、多くの豪華アーティストによるビートルズのカヴァーを行ったが、逆にそれが話題となった。

出典

  1. ^ I am Sam (1994)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年10月14日閲覧。
  2. ^ 本作の撮影はスターバックス誕生の地であるシアトル地域で行われた。サムが働く店も本物のスターバックスである(北米版DVDの監督コメンタリーより)。

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